「将太君、これ、食べて。」
「か、香織ちゃん・・・。」
「わたしも、持ってきたよ、将太君に。はい。」
「美幸ちゃん。」
「ほ、ほら、野球部マネージャーとしてってゆーの? 一応・・・ね。」
と、一生懸命弁解している。これはどういうことなのかな? 僕の事を好き?まさかね。それとも、ほかに好きな男子がいて、誤解されないように弁解してる?

「私も、野球部マネージャーとして私も持ってきたよ」
「理絵ちゃんまで・・・」
「食後のデザートはうちのスイーツで決まり!」
「さっちゃん!」

なんか、次々と親切な女子達が僕の乏しいお弁当をフォローしに来てくれて・・・

「ちぇー、何だよ将太。心配して損した。おめーばっかりモテて、いい気になるなよ。さっき食ったの全部返せ。吐け!」

ゲシッ!
と、学君がちょっと怒って、僕の背中を蹴った。

「ゲ、ゲホ。ま、学君、無理だよ吐くなんて・・・。」
「学ブー、ダサッ、一度人にあげたもの、返せだなんて、ダサすぎ。せっかく、格好良いトコあるじゃん、って思ったのに前言撤回。」
「香織、うっ、嘘に決まってるじゃん。何、本気にしてんだよ。バーカ。」
『へぇええ!将太君って、こんなにモテッ子だったんだ。知らなかったー。』
「モテてなんかいないよ。みんな、僕を可哀想だと思ってるだけだよ。それって、僕、なんか惨めっぽいし、みんな、僕平気だよ。それに、食後のデザートは果物がいっぱいあるし、みんなの分も持ってきたし、逆にこれをみんなで食べようよ。」
『そうだ、将太君ち、果物だらけ。みんな胃の中に処分してやって。』
「コリンちゃんには、はいこれ。山形産の甘~い、さくらんぼ♪」
『うわぁー有難う♪』
『さくらんぼ・・・桜、そう、なんだか、お花見ってこんな気分なのかなー。楽しいね。』
「うん、こうやって、桜の季節は近所の人たちが集まってきて、ここでお弁当食べたりするんだ。ほんと、桜が咲いてる時に、お花見したかったね。」