そう、運動会といえば、木陰で敷物を敷いて、お弁当。
これが一番の楽しみだよね。

『わー、なんか、みんなでピクニックみたいだね、楽しいね』

かつお君が僕の背中でワクワクしている様子がわかる。

みんな、持ってきたお弁当を広げて、みんなでおかずの分けっことかして、僕はお母さんが忙しいから、自分で作ってきた形の悪いおにぎりと、簡単なおかずだけだけど、こんな質素なおかずも、今日はいつもより美味しく感じる。

『あ、将太君、ちくわ。あーん。』
「え、いいの?ちくわって、魚のすり身だよ?共食い?」
『大丈夫だよー、あーん』
「いいけど、はい。」

そこで、学君が小さなお弁当箱を差し出してきた。

「ほら、マグロのえさ。えびとか、イカとかなら食えるんだろ?フライの衣、ちゃんと取ったから食えよ。魚介なら任せろってんだ!」
「そっか、学君ち、魚屋さん。」
『ありがとう。すげー、デカえび。将太君、あーん。ね、ね、早く早く。』
「うん、はい、かつお君」
『おいしー!、ボク、幸せだなー。将太君と、クラスのみんなと、一緒にお弁当、おいしー。』
「うん。よかったね、かつお君。」
「ほら、将太も食えよ。」
「え? 僕もいいの?」
「オレの家の魚介が食えねーつーのかよ。」
「そういうわけじゃないけど・・・。」
「なら食えよ。」
「ありがとう。」

学君、ちくわと、かまぼこと、チンした残り物のから揚げしか入ってない相変わらずの淋しい僕のお弁当の中身の事まで心配して、余分に持ってきてくれてたのかな。もしかして。と、少し感動して、ジーンと思いに浸ってた、その時だった。