夏休みも終わりを迎える3日前、僕が最後にかつお君に会った時、かつお君は自分が死ぬって事を知っていたのかな?

『もしもボクが死んだら、満月の夜、海水浴場の桟橋に行って。
わかる?ボートの船着場だよ。そして、海に向かって大きめの石を投げて。
その日は必ずリュックサックを背負って行って。リュックの中は空っぽじゃなきゃダメだよ。将太君、ボクのお願い聞いて?』
と、わけの分からないお願いをしてきた。

正直、ホントに意味、わかんなかったケド、いつも不思議なかつお君の言う事だから、意味わかんないままでも、なんとなく・・・『う、うん。わかった。』と返事をしたんだ。

その3日後、かつお君が死んだという知らせを、始業式の日に先生から聞かされた。
かつお君が死んだのは、あの日ボクが帰った後、心臓発作だったって。

親友の死の悲しい知らせで新学期がスタートした5年生の秋の始まりだった。