次に、リレー。

今回のリレーは特別なルールが適応された。

昨日、家でかつお君の重さを計ってみたところ、ほぼ10kg だった事から、僕の四班はかつお君を、その他の班は米10Kgを班の代表が持参して、バトンの変わりにそれをリュックに入れたり、それぞれのやり方で背負ってのリレーとなった。

僕たちの学校の校庭は、半分が低学年用、半分が高学年用に分けられていて、高学年用の半分を一周すると丁度100メートルになる。

広々な校庭でトップバッターから順番に50メートルずつ走り、6人目のアンカーだけは、最後に100メートルを走ってゴールイン。春に行われた運動会と同じルールだ。

そして、勿論僕がアンカーなのである。

位置について 用意 BAN★
と空気銃が青空に向かって打ち放され、リレーが始まった。

『卓也君、行けー!うおぉぉぉ!!』
早速、興奮しているかつお君だった。

クラス一のスポーツマンな僕かいて、負けないわけがない。必ず優勝して、かつお君に良い思い出をプレゼントするんだ!と、僕は心に誓っていた。
なにげに僕の4班は、運動神経も悪くもない顔ぶれが揃っていて、スタートダッシュは体育デーの選手に選ばれること間違いなしの順子ちゃんが、しょっぱなから他の班に差を作ってくれて快調な出だしだった。

女の子なのに10キロも重さのある魚を背負って、50メートルを走り、後半は見事にラストスパートのダッシュをかけて見せたのはスゴイ体力だと、男子の僕でも関心。それに比べ5班の学君の班は、2人目にして米の袋が破れ、米が零れ落ち、失格となる。

「何だよー。だからちゃんとしたリュックに入れりゃぁ良かったのに、余分な重さを省くためとか、セコイこと言うからこんな目に合うんじゃんか!ったくよー。」と学君が愚痴っていた。
「それ言ったの、あんたでしょ!」とツッコミを入れる香織ちゃん。
「ちぇー、作戦ミス。」

アンカーを走るはずだった学君が闘争心を絶たれ、ぶーたれてる。

一方、2班の走り終えた理絵ちゃんが息を切らしている。

「もう、信じ・・・らんない・・・ハァ・・・米、10キロ、・・・マジ重すぎ、し、将太君、あんな重い魚、・・・いつ・・・も背負って歩いてたの?ハァハァ・・・。」