かつお君が49日を迎えるまで丁度あと2週間を切った日。

今日は、学君に早めに学校に来いと言われて、通常の1時間前には学校につくように出かけた。勿論、背中にかつお君も背負って、コリンちゃんを肩に乗せて・・・。

教室の扉の前で立ち止まり、深呼吸をして、ガラッと扉を開けた。すると、ビックリ、拍手の渦だった。

「将太君、おはよう!!!」って全員の大きな挨拶と共に。 

「学君、これ、どういうこと?」
「オレが全員に電話をかけたんだよ。明日、将太が学校に来るから、皆休まないように、朝早く学校に来るようにって、連絡するために、先生から皆の家の電話番号聞いてさ。」
「あそ、びっくり。」
「でも、先生は来るなって一言も忘れずに。」
「あ、先生仲間はずれ?」
「しょうがないだろ、これから皆に話す事は、大人には理解できない事だから。・・・って事で、皆・・・今からオレの話す事を信じて欲しい。実は・・・」

学君は、先生のように教壇に立って、今、かつお君こと、田中勝男君がマグロの中にいて、四十九日までの間、この世での思い出作りをしていること、それを叶えるために僕が今まで学校を休んで、マグロのかつお君と過ごしていた事を話し、それを信じられない子達へ、3年生の時の春の桜の木の不思議な出来事を話した。あの不思議な春の桜の出来事が、田中勝男君の不思議な力による出来事だったという事を。

「私は、信じるわ。だって、桜の木のこと、野球クラブの皆と一緒に、その場で見てたもの。まさお君は神様の子だったんだって、私、今も信じてるし。ね、美幸ちゃん?」
「うん、理恵ちゃんの言うとおり、まさお君は不思議な力がある男の子だったから、私、信じるわ。まさお君はいつも水泳も見学ばかりだったけど、広い海を泳いで、夢が一つ叶ったのね?」
「そ、そうなんだよ!理恵ちゃん!理恵ちゃんなら信じてくれると思ってた。だから、今迄まさおがやりたくて出来なかった事を今から一ずつ叶えてあげたいと思うんだ。」
「オレも、学がそう言うんなら、信じるぞ。オレも桜の木の事見てたから、今更まさおに不思議な事が起こっても驚かねぇし。」
「おぅ、健太!そう言ってくれると思ってた。」