そう、今５年生にもなって、学くんの中で何かが変わって行ったのだろう。

「あのさ、学君、かつお君はもう、そんな事怒ってないはずだよ。」
「なんでそんな事が言えるんだ？まるで、まさおの事、何でも、知ってるみたいに。」
「そ、そりゃぁ・・・・し、親友だったし。」
「やっぱりその魚、まさおなんだろ？オレ、今更まさおがどんな姿で現れても驚かねー。それより、誤りたいんだよオレ。まさおに・・・。まさお、ごめん。苛めてごめん。」


「あ・・・」

土下座した。

ガキ大将の学くんが、今、本当にかつお君本人かどうかもわからないマグロに向かって、土下座した。

なんか、僕、そんな学君見てて泣きそうになっちゃった・・・。って、感動に浸っている時に、背中の方から声がした。

『将太君、代弁して。』
「え？」
『いいから、代弁して。』
「あ、うん。」
『じゃあ、いくよ。なんだよ学くんは、今更カッコつけてさ、すげーバカみたい！バーカ。』
「えー？それ、僕が代弁するの？」
『いいじゃん。ボク、苛められてたんだから。早く代弁して。』
「はやくって、言われても・・・」
「おい、将太、マグロ、じゃなくてまさお、なんか言ってるのか？」
「あ、え、ええとぉ、『なんだよ学くんは、今更カッコつけてさ、すげーバカみたい！』だって。」

最後のバーカはニュアンスが変わりそうなので省略。

「は、ははは、それいーや。まさおの本音だね？ってことは、そのマグロ、まさおだって認めたんだね？オレは信じるよ。まさお、どんな文句でも言ってくれよ。おれが悪かったんだし。」
『あっそ、じゃあ、信じろよ。信じたら聞こえないわけないだろ？ボクの声が。』
「あっそ、じゃあ、信じろよ。信じたら聞こえないわけないだろ？ボクの声が。」だって。
「お、おう。」

学君、けっこう真剣な顔して聞いている。

『ほんの少しでも、そんな非現実的なことなんてあるわけない・・・って思ってたら、ボクの声が聞こえるわけがない。信じてみろよ。』
「ほんの少しでも、そんな非現実的なことなんてあるわけない・・・って思ってたら、ボクの声が聞こえるわけがない。信じてみろよ。」
「わかった。ちゃんと心の底から、信じるから、何か話せよ。まさお。」