9月30日、かつお君が四十九日を迎えるまで、あと十五日となった日。

だんだんと秋らしい季節を感じ始めた頃だったけど、未だに僕たちの夏休みは終わっていない。というか、僕がずっと学校をズル休みしたまま9月が終わりを告げようとしていた。

今日は稲荷神社の縁日。

僕は毎年楽しみにしていたけど、かつお君はまだ一度も行った事がない縁日。今日は、そこにかつお君と一緒に行こうと計画を立てていた。

かつお君を迎えに行って、コリンちゃんに会いに行ったら、コリンちゃんも、人間達がどんな事をして楽しんでいるのか、見てみたいと言い出した。

もしも、コリンちゃんが人ゴミに呑まれていなくなってしまったらどうしよう?という嫌な想像は向こうへおいといて、これも、かつお君の思い出作りの為、なるべく人ごみを避けるようにすればいいということにして、かつお君はボクの背中に、コリンちゃんはボクの右肩に乗せ、レッツゴー!となった。

『ボク、イカー、イカなら食べれる。イカはマグロの餌になる食べ物だもんねー。』
「そっか、そうだよね。焼いてても大丈夫かな?」
『大丈夫だよ多分。将太君、ボク、イカ焼き食べたーい。イカ焼き買ってー。』

まるで子供のおねだりみたいで、おねだりされるのって、なんか楽しい。それに、こんな風におねだりするかつお君自身も、結構、楽しいって思ってくれてるかも。

「オッケー。じゃぁ、僕はたこ焼き、焼きそば、綿アメ。かつお君はイカ焼き。
コリンちゃんには焼き甘栗と焼きリンゴ。」
『えぇ、ボク、一個だけ?イカだけ?』
「しょうがないなぁ、僕のタコ焼きのタコあげるから、お願いだから背中でばたばたするの、やめて。」
『わーい!タコタコー』
「コリンちゃん、甘栗って食べたことある?普通の栗に比べると、小粒で、そして甘くて美味しいんだ。それに、焼いて食べるなんて、初体験でしょ?」
『焼いて食べるって、どういうこと?』
『炎であぶるんだよ。そうしたら、香ばしくて美味しくなるの。人間の食事は火であぶったり、火であぶって暖かくなった水に入れて煮込んだりして調理したものを食べるのが殆どなの。』

『へー、へんなのぉー。でも、物は試しに・・・』
「おじさん、甘栗下さい」