「ねえ、お母さん、兄ちゃんだってば。向こう。」
「お兄ちゃんの顔も忘れたの?ばかねぇ。今来てくれたのは、お兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんのお友達でしょ?お兄ちゃんはね、もういないのよ。分かってるでしょ?」
「ちがうよ。魚がねー・・・兄ちゃんなの。」
「あら、勇気、また熱上がってきたんじゃないの?はやくお布団入って。」

どうやら、勇気君は風邪で学校をお休みしていたらしいと知る。

運が良かったというか・・・おばさんは、勇気君が風邪で寝ていて夢でも見たんだと思ってくれたらしい。

『はぁ・・・やれやれ。』
「ふぅ・・・超ビビッタ」

『そう言えばさ、さっき思ったんだけど、ボクのお母さん・・・、』
「久しぶりに会えて良かったね、お母さんどうかした?」
『うん・・・。』
「どうしたの?」
『笑うなよ?』
「?」

『オッパイが無くなってて超ショック。』

い、今、なんつった?かつお君?

「はぁー?、何でそう来るかな?実のお母さんに向かってそれは変態って奴だよ、かつお君~!!」
『変態ゆーなよ!人はみんな、お母さんのお乳で育つんだよ!小さい時はお母さんのオッパイ触ってるだけで安心して眠れたんだ。変態オヤジと一緒にすんなよ。』
「や、突然ビックリするような発言するから・・・。ま、まぁ確かに・・・、かつお君のお母さん、多分10キロくらいは余裕で痩せちゃってるみたいに見えるし・・・実は僕も一瞬、そんな風に思っちゃってた・・・ケドさ。」
『だろ?ボクのお母さん巨乳だったの、ボクの自慢だったのに・・・。』
「ははは、ま、まぁね。確かに・・・。」

しかし、まぁ、病院に入院していた頃のかつお君からは考えられないセリフだと思った。

『痩せちゃって、こんな短期間の間に・・・巨乳じゃなくなった。』
「痩せる時は胸から痩せるっていうからねー。顔もこけたせいか老けちゃって、違う人みたいだったね、なんか。」
『ボクが死んじゃったからだ・・・なんか、責任感じちゃうな・・・』
「そう言うなよ、かつお君。確かにそうかもしれないけど、勇気君がこれから明るく生きて、かつお君が死んじゃった寂しさとか心の隙間も埋めてってくれるから。きっと。」
『そうだといいけど・・・』