僕は、かつお君の話を聞きながら手で月球儀をクルクルと回しては、止めて、また回しては止めてと、無意味に繰り返していた。

『月から見た地球はどんなだろう?』
「きっと、でかくて、青くて、凄いんだろうね。」
『月でサッカーも楽しそうだけど、月に人が住んでるなんてありえないけど、兎くらいはいて餅つきしてたり?・・・とか想像しちゃうよね。』
「うん。」

クルクル・・・・ピタ!
クルクル・・・・ピタ!

かつお君って、頭が良くて、色んな事何でもよく知っていて大人だなぁと思う事も多々あるけど、生前は“将来の夢が潜水艦の船長”だったりしたのも良い例で、こうして話す内容は僕たち小学5年生と同じだったり、学校社会にあまり参加していなかったせいもあってか、すごく純粋で幼稚園児が夢を見ているような事を普通に今でも思い描いたりもしてて・・・・、これっぽっちの邪心も持ってなくて、かつお君の、話す内容も、その声も、僕の耳にはいつも心地いい。

クルクル・・・・ピタ!
クルクル・・・・ピタ!

『でも、やっぱりかぐや姫くらいは住んでるといいなーとか、でもかぐや姫が生きていたら、今は何百歳のシワシワおばあちゃんだったりしてーゲロゲロ!とか・・・・』
「ははは、それは想像したくないなぁ。」
『しかも、月は地球の6分の1の大きさだから月日の流れ6倍だったら、もっとやばいぞ~!とかさ、いつも色んな想像膨らませて楽しんでたんだ(笑)。』
「想像が暴走しすぎ、笑えるー。」

クルクル・・・・ピタ!
クルクル・・・・ピタ!

こんな話をしながらも、僕はもう一つの脳裏で別の事を考えながら、僕は僕なりの月での場面を思い描いていた。