「あら、そう。えらいのね。お使いに行ってお家のお手伝いがちゃんと出来て。」
「・・・」
「さぁ、どうぞ、こちらよ。勝男、将太君がお線香を上げに来てくれたわよ。それに、フルーツも持ってきてくれたの。良かったわね。」

そう言って、おばさんはお仏壇のあるお部屋に僕を通してくれた。

おばさんは、僕の持ってきた果物をお仏壇に飾り、お線香を立てて拝んでいた。その後ろ姿を、僕はただジーっと見ていた。

『お母さん・・・なんか、痩せちゃったみたい。きっとボクのせいだ。』
「そんなボクのせいなんて言うなよ。」

しばらくして拝み終えると、おばさんは僕とかつお君を二人きりにするかのように仏壇の間を出て行った。

お仏壇には、もの静かな表情のかつお君の生前の白黒写真が飾られていた。

おばさんが今立てたお線香の他にも、やや短めのお線香が2本ほど立っていて、今火をつけたお線香も合わせ、部屋中にその香りを燻らせていた。きっと、おばさんがいつも火が耐えることなく、線香をたいているんだろう。

『自分の写真が飾られた仏壇を目の当たりにするのって・・・なんか複雑・・・。』
「だよね。僕も、毎日かつお君とフツーに会話してるけど、こうして写真飾られてお線香たいてある部屋に通されて、変に実感してきて、なんか・・・本当にかつお君、死んじゃったんだ・・・。やべ・・・泣きそう。」
『将太君、泣くな。ボク、今背中にいるから。勝手に実感湧くな。』
「う、うん。」

ふと目を止めた。

「あ、これ・・・。」

仏壇の側に山済みのお弔い品の陰に隠れるように・・・、そこに、月球儀があったので、思わず手を伸ばしてしまった。

手にとって見ると、僕の持ってる地球儀より遥かにデカかった。

「デカイ。」
『ボクの宝物だったんだ(笑)』
「月球儀・・・かぁ、かつお君の土地って、どの辺りなんだろうね?」
『よく分からないけど、権利書にはちゃんと住所が書いてあったよ。』
「ふぅーん。」

クルクル・・・・ピタ!
クルクル・・・・ピタ!