田舎のお祖母ちゃんから果物が届いた。

この季節になると毎年のことなんだけど、いつもなら、かつお君の入院している病院にお土産で持っていくところだけど、今年はもう、その必要はない・・・っていうのも、淋しい気がする。

巨峰、ナシ、りんご、バナナ・・・。

田舎のおばあちゃんというのは量の加減も知らずに、毎年、ものすごい量の果物を送ってくれる。貰う側なので文句は言っちゃいけないんだけど・・・、お父さんが単身赴任中の一人息子とお母さんの二人暮らしで、僕はそんなに果物は食べない方で、お母さんは朝から晩までお仕事に出かけていて、誰がこの山のような果物を食べるというのだろう?

食べる人がいない・・・と思うと気が重い。
まぁ、しいて言うなら公園に行く口実が出来たてとこかな?

『わっほー!毎年の事ながら、将太君ちのお婆ちゃん、このフルーツの山はスゴイね。果物屋さんで買ったら何万円分あるんだろう・・・。得した気分。』
「そうか?今年はなんか、半分以上は捨てる破目になると思うと気が重いよ」

チラッ

『 ! 』

僕がかつお君をチラ見すると、かつお君も一瞬同時に目が輝いた。
何も言わなくても僕の考えてる事わかるのね。恋する少年は敏感です事!

『これから、コリンちゃんの所に行くの?!』
「うん、勿論そのつもりだったよ!行こ!」
『わーい、コリンちゃん、絶対に喜んでくれるよ。巨峰なんかさ、両手で抱えて、かぶりつくコリンちゃんの姿、想像するだけで、もう、萌えーっ!』

かつお君が興奮して喜んでいる。

「萌えはしないけど、確かに可愛い。じゃぁ、ちょっと寄ってみようか?」
『行こう行こうー!レッツゴー★』