背中にマグロのかつお君を連れて町を歩いたって、誰もこれが本物のマグロだなんて思いもしない。

そりゃそうだよね。
そんな現実離れしたこと・・・。

だから、僕は白昼堂々とかつお君と一緒に町を歩く事が出来るんだ。

先週は、かつお君と一緒に映画を見に行った。

その次の日は遊園地に行って、お化け屋敷に入ったり、観覧車に乗ったり、ジェットコースターに乗ったり、ゴーカートに乗ったりして楽しんだ。

そして、この数日間はずっと・・・お小遣いも底尽きて、遊びにも行けないから勉強を手伝ってもらってる。だって、かつお君と一緒の時間を過ごすために、学校何日も休んじゃって、勉強は大分遅れてるだろうし、だから、かつお君に勉強を教えてもらってるんだ。

『なんだ、将太くん、そんな簡単な問題もわからないの?』
「わ、悪かったねー。どうせ僕は体育しか出来ない頭の悪い子供なんだ。」
『逆ギレすんなってば、ほら、教えてやるから、算数なんてさ、みんな理屈で出来てるんだから、理屈さえわかったら、すぐに解けるようになるんだってば。例えばここの問題集の第4問目、見て・・・これはね・・・・』
「フムフム、なるほどー。ってゆーかさぁ、なんか、かつお君って先生より教えるの上手いよ。すごい、わかりやすい。じゃぁさ、次の問題はそれを代用して、こうすれば・・・いいの?」
『・・・そう、当たってるじゃん。なんだ、将太くんってもっと頭悪いのかと思ったら、全然回転速いしさ、頭いいんじゃん?』
「何?かつお君、僕の事、頭悪いって思ってたの?ヒドーイ・・・」
『まぁ、まぁ、それは冗談として、じゃあさ、その次の問題は?ちょっと難しいかもよ?』
「あ、でも、わかるよ、こういうことじゃないの? それで、これとこれを足してみて、で、残ったこっちの方は、とりあえず、置いといて・・・ええとぉ???そうだ、こうして計算してみると・・・答えは1950円。」
『ピンポーン!当たってる。将太くん、やるー!』
「へへへ、先生が優秀だからサ。」
『じゃぁ、もう、外も暗くなってきた事だし、昨日の続き、しようよ。』
「うん!」