「ねぇ、近づいたら逃げちゃうかな?」
『友達になれば?っていうか、なろうよ!』
「うん。話しかけてみる・・・ね。」

僕は、リスのいる木にゆっくり歩み寄って、「あのー、リスさん。こんにちは」って、さっき白鳥たちに話しかけたように、勇気を出して話しかけてみた。

すると・・・

『誰?あなた?何の用かしら?』

通じた!
けど、なんか、迷惑そう・・・。

「あの、忙しかったのかな?話しかけてゴメンナサイ。はじめまして。」
『ごめんねー。今私お腹空いてて、これ食べるのに必死なのよ。ほっといてくれる?』

リスさんは、手にくるみを持っていた。

「あ、クルミ。僕、良いもの持ってるよ!ほら!」

僕は慌てて、お母さんのおつまみのクルミをカバンから取り出した。
僕の持ってきたクルミは、殻がついていない実の部分だけがつめられたもので、よくコンビニで売っているやつ。

『すごい、将太くん!今日、リスさんに会うこと予言でもしていたの?』
「そういうわけじゃないけど、たまたま。お母さんのおつまみなんだ。」
『へぇー。そうなんだ。ラッキーだね!』
「うん。」
『ねぇ、リスさん。はじめまして。ボクかつおって言うんだ。
この間まで人間だったんだけどね、今はしばらくの間、海という広い水の世界で生活している魚という生き物の体を借りて生活しているの。だから、こうして森の中のリスさんと出会うなんて奇跡なんだよ。だから、奇跡の記念にボク達と友達になってほしいと思います。それでね、そのしるしに・・・ボクの友達が君に美味しいクルミをプレゼントします。』

かつお君がそういうと・・・。

『私、クルミが一番大好きなの。そういうお話なら喜んで。』

リスが僕の方に近づいてきて、足元から僕の体に上ってきた。そして手のひらの方へやってきて、クルミにたどり着くと、喜んで手に取ってそれを食べ始めた。