『変わった食べ物ね。美味しいの?』
『将太くん、白鳥さんは雑食だから、おにぎりとか、ビスケットなら食べられるんじゃないかな?ポテトチップはちょっと油がついてるので、やめといた方がいいかもしれないけど・・・』
「えー?、ご飯とか、お菓子とか、食べるの?」
『あげてこらんよ。』
「かつお君が言うなら・・・。
あの、これ、僕たちの食べもの。美味しいんだ。食べてみる?」
『あら、変わった食べ物。でも美味しそう。頂いちゃおうかしら。』

すると、一羽の白鳥がボクの手から、ご飯をパクリと食べた。

「わぁ!僕のあげたご飯、食べてくれた!僕に心を許してくれたって事だよね?」
『だって、もう友達でしょ?』
「かつおくん、そうなの?」
『そうさ。友達さ。』

そうか、かつお君はいつもこうやって自然界の誰とでも仲良くなっていたんだ・・・。

「どう・・・ですか?美味しかったですか?」
『そうねぇ、変わった味。だけど嫌いじゃないわ。みんなも食べてみれば?』
その白鳥がそういうと、ジーッとこちらの様子を伺っていた周りの白鳥たちも、一気に集まってきて僕を取り囲んだんだ。もう、白鳥の群れから脱出するのが大変だったくらい。

白鳥たちは来週にはここを旅立たなければならないんだって。だけど、また来年会う約束も出来た。

動物とお友達になれるなんて、本当にこんなに素敵な事だったんだ!
 
お腹がいっぱいになって、木陰で少し昼寝をして、その後、松の木のある森の中をぶらぶら歩いた。

『将太くん、こういうの知ってる?』
「なに?」
『松の木の見分け方。』
「へー、知らない。どうやって見分けるの?」
『天に向かって枝を向けているのは、とど松。届け届け天まで届けのとど松。枝は下向きに地上を見下ろしているのがえぞ松。ええぞええぞ、眺めがええぞの、えぞ松。って覚えればいいんだって。』
「へぇぇー面白いね。」
『でしょ?!』
「じゃあ、あればとど松だね?」

そう言いながら、木の枝の上に僕たちが見つけたのは・・・

「見て、かつお君!」
『あ、リス!!』
「リスだよリス!可愛いー!超、可愛い!」
『うん、可愛い!すごく。本物に出会ったの初めて。』