「り、理絵ちゃんも?!」
「うん。へへッ・・・実は。」

みんなの視線が何かを待つように、じぃーっと理絵ちゃんを見つめている。理絵ちゃんの顔が半分引きつったまま、一瞬のシーンとした空気が漂った。

「何?この“間”は?この空気だと私も話さなきゃダメなの?」

理絵ちゃんが言うと、海那美ちゃんが思い切り縦に首を振った。

「当たり前じゃん。私のばっか聞いて、自分は内緒ってワケないよね?」
「だよねぇ。」朋華ちゃんが相槌。

「しょうがないなぁ・・・。
 私は、3年生の時・・・、桜の木の出来事を見て以来・・・、不思議な少年のまさお君が気になって仕方がなくて・・・。テストも・・・オール100点ばかりで天才で、なのに嫌味っぽくなくて、隣の席の私に、授業中わからないトコ教えてくれたの、優しかったし・・・。
 か、神様の子だから、私なんかが好きになっても罰が当たると思って、誰にも言えずに、黙ってたの。・・・禁断の恋みたいで切なかったよぉ・・・。」

『そそそ、そうだったの?』

「まさお君ったら・・・、よく・・・授業中小さな声で鼻歌歌っててさ、こんな適当に授業受けてるのに、なんで100点とるの?・・・とか、神様の子だから、やっぱ勉強しなくても100点取れるなんて・・・スゴイ!とか、・・・手の届かない存在だと思うたびに、切なくて、苦しくてぇ。」
『あ、それ、歌いながら覚えてたんだよ。さっきみたいにさ。』
「うん、今日その謎が解けたけど・・・、でも、授業が終わってテストで間違えた所も、先生に聞きそびれちゃってたら、まさお君が教えてくれたり・・・。それが親切で分かりやすくて・・・それでまた、もっと好きになっちゃって・・・。」
『なんか、照れるよね。正面きってそう、告白されると。』
「でも、今魚だし。私も海那美とおんなじ、人生初の告白が魚だなんて・・・。はぁぁ。ブルーなため息、出ちゃうわぁ。」

と言って・・・淋しそうな顔でクスリと笑った後、理絵ちゃんはかつお君を両手でそっと抱きかかえた。