「えーーーーー!?」と思わず立ち上がる理絵ちゃんと、朋華ちゃんに「うそぉー!!!」と、叫んで興奮する桜子ちゃん。

「マジかよ!」とひっくり返った声を出したのは大介君と薫君。

僕は?といえば・・・、「そうだったんだ!」とビックリだったけど一人納得。

当人の海那美ちゃんは真っ赤になって顔を両手で覆ってたけど、耳まで真っ赤だった。

「そ、そんなでかい声で声合わせて驚かなくてもいいじゃん。」
と、海那美ちゃんは、覆った手の指の隙間から片目を出して恥ずかしそうに訴えていた。

思わず立ち上がった理絵ちゃんも我に返って座りなおした。
 「ゴメン、イガイでビックリ。」

そして、少し間をおいて海那美ちゃんが喋りだした。

「まさお君も、将太君も、気づいてなかったんだぁ?」

僕とかつお君が目を合わせながら、僕が二人の返事を代表するかのように言った。

「うん、ゴメン、何のことだか心当たりが・・・。」
「本当に覚えてないんだね。ちょっとショック。」

海那美ちゃんはちょっとがっかりしたような感じで肩で息を吐いた。

『うん、ごめん。海那美ちゃん、きかせて???』

また、しばらく間をおいて・・・。

「私、小さい頃、けっこう貧血持ちで身体弱かったんだ。
小学校に上がる前の年の秋に1週間くらい入院した時のコトなんだけど、同じ日から同じ病室に入院していた同い年の子がいて・・・それが将太君だったの。」
「あぁー!なんとなく覚えてる。そん時の子って、海那美ちゃんだったんだ?」
「そうよ。それで、同じ小児科フロアの隣の病棟にまさお君が入院していて、まさお君が私達の病室に遊びに来てくれて、すぐ仲良くなったの。」
「僕は同い年の男の子の友達が出来たって事の方が嬉しくて、同室に同い年の女の子も一緒に入院していたって、すっかり忘れてたなぁ。その時の話し、もっと聞きたい。」
「うん。それで・・・、暇な時間、まさお君がよく本を読んでくれてたの。覚えてない?将太君。」
「そういえば読んでくれてたね。どんな本を読んでもらったかは忘れたけど。」