「いつも寝てるのに,隣の人が忘れ物を

 してるなんて気づける訳ないしね…」


口は微笑んでいるけれど,頬には涙がつたっている




「さてと……!

 アタシは退散しますわ」


公園を出ていこうとするチコ



私は引きとめて,チコを抱きしめた




「ありがとう……!

 本当に!本当にありがとう!」


つい涙がこぼれて,声が震える



「お礼を言うのはまだ早いよ

 がんばってね,鈴っち」


チコが抱きしめ返してくれる


じゃ,また学校で!と小さく手を振って公園から出ていく