「莉子には幸せになって欲しい。」
私の手をはぎとり奈津は悲しげに笑って私を引き寄せた。
「ほんと、ずるいっ男」
「なんとでも言えよ。」
「ねえ、好き。どうしようもないくらい好き。」
「じゃあな」
その時引き止めれなかったのは私よりも奈津が苦しそうな悲しそうな顔をするから。
虚しい音と共に屋上のドアがしまった。
『莉子には幸せになって欲しい。』
ねえ、それって殺し文句だよね??
てか、それって告白だよね?
ふざけてんの?
私がそんな言葉で引き下がると思ったわけ?
私は頬に伝う涙を気にもせず、
去っていく彼の背中に笑った。
誰も好きにならないなんて
嫌われ方を知ってから言えば?

