そっと奈津に近づいてベッドに手をついた。



「それ以上近づいたら警察に通報な」




「ケチ奈津」




「俺…」

今どんな顔をしているのか想像も出来ない。


「ん?」





「やっぱ何でもない」




でも何故かこの時奈津を遠くに感じた。



「奈津、好きだよ」


これ以上離れていかないように呟いた言葉になんの迷いもなかった。




ガバッと布団から顔を出した奈津は突然私を抱きしめた。



「ッハ」


何かを耐えるているような奈津の吐息が私の耳に響いた。




こんなにも切なそうな声を奈津が出したことに私は驚く余裕もない。

バクバクと心臓が暴れていてでもこの温もりにひどく安心している。