「こんな事じゃ、動かないと思うよ。まず私が財閥の子だなんて誰も思っちゃいないだろうしね。」 「確かにな、俺達がいとこってのも誰も知らないだろうし…」 私たちを遠巻きにチロチロ見ている人たちにひと通り目を通した司は鬱陶しそうに顔を歪めた。 「素が出ちゃってるわよ。」 「こんな窮屈な生活してっと素が出る時くらいあんだろ。」 「無理に頑張らなければいいじゃん」 「そうでもしねえと次期社長お前になっちまうだろ」 司は私が次期社長にならなくいいように常に前を常にトップを誰よりも前を歩いている。