姫、私は誓います。

湿ったれた空気は俺には尺に合わない。何せ、俺の体は1度死んだ魂をただ肉体として見せているだけだからだ。1度も2度も自分に降りかかるこの空気は経験した。そして何度も勿体無いと思ったさ。俺が霊体を食すのは肉体に近い存在としてこの世界にいろと神が言ったから。上に行こうと下に行こうと中間にいようと希望も何もなくふらふらしていた俺に、何か大切な者を見付けて生涯を終えるまで中間で生きていろと言われたから。この世界で生きていろと言われたから。
今回もやっぱりダメだった。人間の魂として死した彼女の魂を食させてもらったが、罪悪感なんて生まれるわけもない。同情しか出来なかったさ。ただ、彼女が連れてきたあの妹が少し気掛かりだった。樹海に住む植物や霊体に任せては来たけれど、興味本意でこっちの世界に出てきていないだろうか。少し心配だった。

「ランバート、俺はやっぱりお前がわかんねぇ。どうして姫が亡くなったのにそんな事出来んだよ。何でそんな冷静なんだよ。なぁ」