姫、私は誓います。

ジンルークさんだけは何も喋らなかった。きっと皆何も知らない。彼女が存在しない人間だった事も、過去に残酷な行動に出ていた事も。そして、彼女の妹として育ってきた女の子が生きている事も。
彼女が連れてきた母親は霊体であったから悪さをしないうちに食した。でも、植物でも何でもない妹が肉体のままだった。霊体は食せてもさすがに肉体を亡くしてしまう事まではできない。だから、妹の方は俺の住み処で今もなお生かし続けていた。

「これからどうするんだ。姫がいないならこの城に用は無いだろ」

「どうしよっかな・・・」

「ここからは離れたいです。・・・思い出がありすぎますから・・・」

どうして生き物はここまで何かを愛せるのだろう。どうして無償で愛せるのだろう。何か返ってくる訳でもないのに、愛を返してくれるとも限らないのになぜそこまで愛せるのだろう。