姫、私は誓います。

私がこんなに悩まなくて済んだはずなんだ。

「姫様、点滴を射たせて頂きますね」

今、彼女は私の目の前で目を覚まさずに横たわっている。亡くなってしまうのではないかというくらい静かな寝息を立てて目を閉じている。生死をさ迷っているはずなのに、こんなにも可愛らしいと思ってしまうのはなぜだろう。私が可笑しいのだろうか。

「ロンマニーさん、少しは寝てください。何かあった時、あなたがいなければ困りますよ?ロビンさん、何か食べられますか?」

右手は亡くなったけれど、私にはまだ左手がある。破裂して粉々になってしまったけれど、全てが終わった訳ではない。右手に白魔術を叩き込んでいたけれど、左手にも叩き込めない訳ではない。生きている以上、まだ希望はあるんだ。まだ彼女は死んでいない。生きられるんだ。