ある人は生ぬるいと怒るだろう。ある人は俺には出来ないと称えるだろう。でも、俺たちだって死が怖いわけでは無いんだ。ただ生きるために会いに行く。愛するために生きていく。会うたびに愛していく。
生きる活力は確かに人それぞれだろう。でも俺たちは、少なくとも俺とラークペイは姫を愛する事が生きているための活力になっている。姫の笑顔を見るために、死なせないために戦っている。

「あの小娘は俺の物だ!」

「どういう意味だ!」

「やめろ」

すれ違い際、国王の義弟がそう呟いて姫のいる書斎へ向かっていた。姫と義弟の間に何があったのかは想像つくが、姫は物ではなく者だ。荒々しく声を上げるケイロビンに注意を促すが、俺はあの義弟を信じてはいない。姫もあの義弟には屈するはずがない。ただ、俺は姫の身に何かあったら怒り狂うであろう。