他にも誰かいるのだろうか。俺には見えない所に誰かが生死をさ迷っているのだろうか。そんな大変な所にいたら面倒事を増やしてしまう。早く出なくてはいけない。でも、俺はどこから来たのだろうか。それが分からなければもっと面倒事を増やしてしまうかもしれない。どうしたら良いのだろう。

「おい、ラーク。俺らが分かるか?どこまで覚えているんだ」

懐かしい声をした男の人が俺に話しかけて来るけれど、俺はラークだなんて名前ではない。俺は名前すら覚えていないのだから、本当に彼の知り合いかすら分からないんだ。俺は何て言う名前なんだ。

「ダメ、名前も思い出せていないみたい」

ずっと隣で俺の看病をしてくれていた女の子がそう言っていた。喋ってもいないのにどうして分かるのだろうとも思ったが、俺が理解できていない表情でもしていたのかもしれない。