「そうか。・・・ありがとうな、ケイロビン」

その声がふっと聞こえた。聞いていると勇気をくれる。そんな家族や友達では収まらない温かい声だった。

「目は・・・、覚ましたか・・・?」

「うん」

懐かしい。空っぽの俺の頭の中にそんな感情がある。なんでなんだ。

「大丈夫そうか?」

「真っ白。何の記憶無いみたい」

記憶がない。誰の記憶が無いんだ。そんな大変な思いをしている人がいる場所に長居する訳にはいかない。

「そうか・・・。ラークがこうなった以上、あいつらの安否は保証できなくなるな・・・」