「なんであなたなのか、わからないの?」

洞窟から出て、なるべく人と会わない道を進んでいたら彼女は急に立ち止まった。鼻に付く気掛かりな言葉を掛けてくるが、俺にはさっぱり理解できない。一緒に住んでいたとは言え、ランバートが俺を残した理由を彼女は知っているというのだろうか。だとしたら是非伺いたい物だ。こうやって答えが出ないまま、いつまでも悩んでいるのは皆と離れてから俺の悪い癖だ。知っているのならこのもやもやとした気持ちを晴らしてもらいたい。
そんな事、無理だと分かっているのに心のどこかで期待してしまうのはどうしてなのだろう。俺が真剣に悩んで本当に答えを欲しがっているのか、ただ誰かの意見を聞いて自分の予想通りである事を確かめたかっただけなのか。悩んでいたって解決する訳では無いが、それでも悩まずにいられないのは俺の本能という所だろうか。

「ランバートは自分じゃ私を幸せに出来ない事を知っている。だから、あなたに私を任せたの」