姫、私は誓います。

状況把握が出来るまで、彼女を抱き締めて動けなかった。四方八方に神経を集中させ、何が起きてもすぐ対処出来るような状態にしておきたかったんだ。

「飛べ!」

隊長にそう叫ばれた気がした。隣の部屋に皆いたから定かではないけれど、一か八かで宿屋の窓から彼女を抱いて飛び出してみたんだ。

「ようやった、ロンマニーさん。もう少し抱き締めててくれ」

ランバートは僕に片目を瞑って褒めると霧に変化して僕たちを包み込んだ。その中には銃の弾を詰め直すジンさんや爪を磨ぐ隊長、クリスタルを磨くクラウドがいて安心したと同時に少し笑えた。
しばらくして霧がランバートの姿に戻ると辺りに谷はなくて、レイア姫の分身が待つ洞窟があった。何かの理由で予定が早まったんだとしか思っていなかった。でも、事態は僕が思っているより深刻みたい。