「それは、勢いで……。
まさか、本当に絵のモデルをやり続けるなんて
思ってもみなかったし」

由恵にそう言ったが……嘘です。

本当は、モデルになってもいいから
先生に絵を描いてほしかった。

だから、意外と恥ずかしいけど
満足している。

「でもさ~意外よね。
藤沢先生にそんな趣味があったなんて」

「フフッ……まぁね。
私は、本当に見た時は、驚いちゃった。
でも、凄く素敵なのよ?
先生の絵は、繊細で美しくて……」

「はいはい。ご馳走さまです」

少しからかうように笑いロッカーを閉める由恵。

もう……馬鹿にしてる。
頬を膨らませるが、何だか嬉しかった。

私をロッカーを閉めると
自分が担当する病院に急いだ。

仕事を始めるが
今日もまた忙しかった。

大竹さんと退院した患者のベッドを
アルコールにつけたガーゼで
細かいところまで拭いていく。

特に長く入院していた患者のベッドは、
ホコリや食べ物の汚れがあり拭くのが大変だ。

拭き終わるシーツ交換をして外に出した。
その間に清掃スタッフが病室などの掃除してもらう。

すると看護師さんが

「助手さーん。505号室の犬飼さんを
リハビリ室までお願いします」

送って行くのを頼まれてしまう。