―壱里とは、中学の文化祭で出会った。



「いばらちゃん、これあづの兄ちゃん!」

「初めまして、壱里です。
一応、高一ね」

「初めまして、いばらです」


『何をしても怒らなさそうだな』


わたしは、優しい笑顔で挨拶をしてくる壱里に、そんな印象を抱いた。



「あづ、部活の出し物あるから行くね」


そう言って、梓はその場を去っていった。



「あらら、行っちゃった」

「ホントだ」

「どうする?」

「とりあえず回ろっか」


わたしは、グイッと壱里の手を引っ張った。

壱里はクスクスと笑いながら、着いてきた。


「何よ?」

「いや、いい性格してるなぁって思ってさ」


わたしはギロリと壱里を睨んだ。


何だこいつ。

子供だからって、からかってんのか?


「変に遠慮しないしさ。
いばらちゃんみたいな子…タイプだなぁ」


思わず紅潮してしまった。



な、何だこの気持ち……。


照れるっていうか…

何か…ヤバい。


この気持ちは



「いばらちゃん?」

「好きだ!」



わたしは、壱里を見上げて、言った。



「は……え?」