────季節は四月。 桜も散り、新しい制服が体になじみだした頃。 「綾乃、いる?」 二時間目が終った休み時間。 高校生活にも少しづつなれた私は、クラスメートとおしゃべりをしていた時のこと。 明教大付属高校の生徒会長が、一年D組の教室にヒョイっと顔を出した。 「「 キャー、森羅(しんら)先輩よーっ!!! 」」 森羅先輩と呼ばれた彼は、女子の悲鳴にさわやかな笑顔で答えて、 「おい、綾乃っ」 廊下から手招きしてる。 「あっ、一平くんっ?」 私は一平先輩に走り寄る。