いつも顔を合わせてる会社の先輩の晴れ舞台なのだから、私も一応見に行かせて頂いた。


予想以上に…


ひどかった。
つまらないのは仕方ないけど、なんか…パクリみたいのとか…

そんなの知んないしー!
そんなの知んないしー!


とか腕を振って連呼するやつとか。古いし。


でもこんな奴でも、今は私の相棒になってもらうしかない。


「昨夜のネタはですねー、ちょっと難解だったかもしれないですね。ジワジワくる笑いっていうか。

ああいうのはあの客層じゃ、マッチしないのかもしれません。

その場の空気でもうちょっとこう、ネタをシフトチェンジする柔軟性が必要なんじゃないかな?と思いました。すみません、上からで」


口から出まかせ、テキトーに言ってるのに根は真面目な寺島先輩は、素直に
「うんうん…シフトチェンジね」と頷く。

でも、残念な結果に私は軽く安堵していた。

これから大手中堅零細構わず、アポのとれたクライアント(主に旅行会社)へ出向き、我が『ベリベリ・ロイヤルアイランドリゾート(通称ベリロイ)』を売り込んでいかなくてはならない。

悪いけど、お笑いはほどほどにしてもらわなくちゃ。