その瞬間、わかってしまった。


陽介君はあたしが脱出すると考えて天井の上に重石を乗せて行ったのだ。


「うそでしょ……?」


思わず涙が浮かんできそうになった。


天井のビニール部分まで移動し、背伸びをして天井の上を確認する。


するとそこには書道で使う文鎮が2本置かれていたのだ。


振り向くと、逆側の天井にも同じように文鎮が2本見えた。


これでは箱を開ける事は不可能だ。


あたしはその場で座り込み、大きく息を吐き出した。


せめてこの羽がなければ、ビニールの隙間から出る事ができるかもしれないのに……。