あたしは茫然として部屋の中央に座り込んでいた。


立ち上がると頭が天井にぶつかってしまうくらいの大きさしかない。


天井がないときは窮屈さを感じなかったけれど、周囲が囲まれてしまった今は威圧感で押しつぶされてしまいそうだった。


だけど、陽介君が学校へ行ったと言う事は地震での復旧が進んでいると言う事だ。


これで誰かがあたしがいない事に気がつき、探してくれる可能性が高くなった。


なにより、陽介君が部屋にいない状態はあたしにとって心がスッと軽くなることだった。


常に縛られていた鎖が、今は外されている。


そんな感じがする。


あたしは大きく息を吸い込んで立ち上がった。


箱の周囲をテープで止めていた音は聞こえてきたけれど、それくらいならあたしの力でも剥がす事ができるかもしれない。


そう思い、両手で天井を押し上げた。


厚紙でできた箱は弓のような形に歪み、貼られたテープがはがれていく音が聞こえて来た。


いけるかもしれない!!


あたしはもう一度両手に力を込めた……その時、違和感に気が付いた。


天井の一部が少し凹んでいるのだ。


あたしが押し上げたことで弓のように反っているのに、その部分だけは凹んでいる。


「なんで……?」


あたしはそう呟いて凹んでいる箇所まで移動した。


手を伸ばして天井に触れると、その箇所だけ固くなっているのがわかった。