陽介君が機嫌がいいからあたしの為に部屋を用意してくれた。


あたしはずっとそう思ってきていたけれど、それは違ったようだ。


イヤイヤと左右に首をふるあたしを無視して、陽介君はティッシュの部屋に蓋をするように上半分を被せて来た。


そしてすぐ、セロハンテープを千切り、周囲に張り付けていく音が聞こえて来た。


「嘘でしょ……」


途端に薄暗くなった部屋の中、あたしは不安で周囲を見回した。


ティッシュを出し入れする部分から光は入ってくるものの、カーテンの閉められた室内の明かりは極めて少ない。


これで部屋の電気を消されたらティッシュ箱の中はほぼ暗闇になるだろう。


「大人しくしてろよ」


「陽介君!!」


あたしは声を張り上げる。


しかし陽介君の足音は遠ざかり、部屋の電気は消されたのだった……。