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あたしは放心状態で座り込んでいると、いつの間にか陽介君は寝息を立て始めていた。


1つの仕事をやり終えた後だからか、とても心地よさそうな表情だ。


あたしは立ちあがり、よろよろと机の端まで歩いて行った。


机から見える外の景色を見つめる。


外はとても天気が良くて時折鳥の鳴き声が聞こえて来る。


最近陽介君はあたしの前でラジオを付けなくなった。


外の世界が今どうなっているのか、あたしは知るすべがない。


両親はどうしているだろう?


地震はもう収まったんだろうか?


なかなか戻ってこないあたしを心配して、探しているかもしれない。


「お母さん……」


あたしは窓の外を見つめて、小さく呟いたのだった。