ミィは嫌がって逃げるだろうか?


そう思いながらすぐ隣に立った。


人の気配に気が付いたのか、ミィが薄目を開けてあたしを見た。


その目にあたしは動きを止める。


ここまで大きな猫に至近距離で見られていると、嫌でも恐怖心が湧いて来てしまう。


あたしは必死でその恐怖心を押し込めて、ミィの体に触れた。


柔らかくてフカフカの毛に触れると、手首まで埋もれてしまった。


ミィは驚いたように目を見開いたが、それも一瞬のことで、すぐに目を閉じた。


心地よさそうに呼吸を繰り返している。


あたしはミィの体に身を寄せてその毛に埋もれるようにして座った。


皮膚に近い場所はとても暖かくて、心地いい。


頻繁にお風呂に入れてもらっているのか、これほど近い距離にいても獣の匂いはしなかった。


あたしは手の平でミィのお腹を撫でた。


あたしみたいに小さな手では気持ちよくないかもしれないが、ミィは抵抗しない。


やられるがままになっているミィに、少しの希望を見出したのだった。