陽介君が図鑑に夢中になっている間、あたしはティッシュの上で横になった。


背中も足もズキズキと痛むけれど、その痛みにも徐々に慣れ始めていた。


これから先あたしはどうなってしむのか、その不安が痛みさえかき消しているように感じられた。


机の上にあたしのスマホはなかった。


外と連絡を取る手段はない。


大きな声を出しても聞こえるはずがない。


そんな中どうやってここから脱出するか……。


あたしの脳裏には黒猫のミィがいた。


ミィがあたしの事を人間だと認識して、助けてくれる気があるかどうかはわからない。


でも、もしミィにそんな気持ちが少しでもあれば、ここから脱出できるかもしれないのだ。


あたしはそう思い、瞼を閉じた。


夜になると部屋に入って来るミィ。


その存在だけが、今のあたしには頼りなのだった。