壁に飾られている標本と同じように、手足をピンで刺されて飾られてしまうかもしれない。


そんな恐怖はあるのに、体はまるで別人になってしまったかのうように動かなかった。


何度もしゃくり上げたその時だった。


ドアがキシミながら開いた。


そちらへ視線を向けると、黒猫のミィが姿を見せた。


暗がりの中でその目がギラリと光る。


「ミィ……」


ミィは雄介君の目を盗み、こうして何度も部屋に入ってきているのだろう。


今回も躊躇することなく机へと歩み寄って来た。


そして、勢いよくジャンプして机の上に飛び乗ったのだ。


その躍動的な姿にあたしの心臓はドクンッと大きく高鳴った。


感心している場合じゃないけれど、ここから見上げるミィのジャンプはすごかった。


あたしにもあんなジャンプ力があれば……。


そう思うと、自然と立ち上がる事ができていた。


もう1度、頑張ろう。


雄介君に殺されてしまうなんて絶対に嫌だ。