どうにか机の上に戻らなければいけない。


そう思い、あたしは両手を精いっぱい伸ばしてジャンプを繰り返した。


椅子のクッションを使いいつもより少しは高い場所まで飛べているはずだった。


それでも、やっぱりあたしの手は机には届かない。


陽介君の寝息が聞こえるたびに背中から冷や汗が流れて行った。


陽介君はいつ目が覚めるかわからない。


その前に、どうしても机の上に戻る必要があった。


汗が流れて目に入り、視界が歪んだ。


痛みで涙があふれ出す。


それと同時にあたしは立っている力を失い、その場に座り込んでしまった。


「なんであたしがこんな目にあわなきゃいけないの……」


誰ともなく、そう呟いた。


今まで張りつめていた気持ちが一気に緩んでいくのがわかった。


それは涙となり、次から次へと頬を流れおちていく。


夜明けまであと数時間しかないのに、どうしても立ち上がることができなかった。


椅子の上にいることがバレたら殺されてしまうかもしれない。