また地震なのかと身構えたが、あたしがメマイを感じていたのだ。


フラリとテーブルの足にもたれかかる。


なんで?


どうして?


わけがわからない。


体からは薬品の匂いが漂ってくる。


髪の毛までびしょ濡れだ。


そしてハッとした。


もしかして、この薬品が関係している……?


だとすれば世界が大きくなったのではなく、あたしが小さくなってしまった……?


そこまで考えた時、ガラガラと戸が開く音が聞こえて来た。


心臓まで響くような、大きな音に咄嗟に耳を塞ぐ。


体が小さくなると、その分周囲の音は大きく聞こえて来るようだ。


「百合花(ユリカ)、大丈夫だった?」


あたしを呼ぶその声にハッと顔を上げる。


さっきまで一緒に掃除をしていたクラスメート、成安美衣(ナリヤス ミイ)の声だ。


「美衣!!」


あたしは声を上げてその場でジャンプする。


「あれ? 百合花?」


美衣はあたしを探して教室内へと入って来る。


その足音がドシドシと響き渡る。


「もしかして棚の下敷きになったの?」


美衣がそう言いながら教室の奥へと進んでいく。