あのイラストのように綺麗でもなんでもない。


ただいびつで汚くて、肌に害を及ぼしているだけだった。


「なぁ、どうして泣きやまないんだ?」


雄介君はそう聞いてくる。


あたしは手の甲で涙をぬぐい、雄介君を睨み付けた。


「こんな姿、ちっとも綺麗じゃない!!」


「何を言ってるんだ?」


「お願い、この羽を取って!!」


「羽を取る? 冗談じゃない。それじゃお前が『ムシ女』じゃなくなるだろ」


何をバカな事を言っているんだ。


陽介君はそう言い、スマホを取り出してあたしに向けた。


「……何をするの?」


「記念に写真を撮っておくんだよ」


その言葉に背筋がゾクリと寒くなった。


「やめて!」


「さっきからうるさいな」


陽介君はため息交じりにそう言い、背中の羽を親指と人差し指で掴んであたしの体を持ち上げた。


瞬間、激しい痛みが背中を襲う。


ボンドの一部がバリバリと剥がれていくのがわかった。