陽介君から見えない場所へと移動してみても、すぐに足を掴まれて元の場所に引きずり戻されてしまう。


「いや、やめて!」


必死に抵抗している時に、透明な瓶が視界にはいった。


あたしが入れられていた瓶だ。


そこに写っている自分の姿を見て愕然とした。


背中に蝶の羽が付けられているのだ。


あたしは瓶にすがり付くようにしてその姿を確認した。


「嘘でしょ……?」


本物のモンシロチョウの羽を、ボンドでくっつけられているのだ。


皮膚が引っ張られる感覚と背中の重みの原因は、すべてこれだ。


「あぁ。まだ自分の姿を見てないんだった」


自慰行為を終えた陽介君がそう言い、あたしの前に小さな鏡を置いた。


そのに写っていたのは全裸のあたし。


右足の太ももあたりにまだ完全には治っていない大きな傷。


そして背中からは蝶の羽が生えていた。


少し体を動かして確認してみると、ボンドで皮膚がただれているのがわかった。


ボコボコと波打つような透明なものは、きっと固まったボンドなのだろう。


それらが自分の皮膚と羽をキツク結び付けている。


その表面はまるでケロイド状になって見えた。