「なんだよその目は」


思わず陽介君を疑うような表情になってしまっていたようで、睨まれてしまった。


「なんでもない……」


小さな声でそう言い、ご飯に視線を落とした。


「『なんでもないです』だろ?」


陽介君のそんな声が聞こえて来る、無視してご飯を食べようとした時だった、急に視界が歪んで見えた。


体が思うように動かず、茶碗が手から滑り落ちる。


プラスチックの茶碗が音を立てて転がって行った。


手を伸ばしたつもりなのに、あたしの体はそのまま横倒しに倒れていた。


足の痛みも消えただ瞼が重たくなる。


「体が小さいと、睡眠薬も少量で十分な効果があるんだな」


陽介君のそんな言葉を聞きながらあたしは意識を手放したのだった……。