あたしは過去の出来事を思い出して、気が付けば泣いていた。


和に会いたい気持ちが大きな波のように押し寄せて来る。


「陽介君は、どうしてこうなっちゃったの?」


壁に飾られているトロフィーを見て、そう呟いた。


虫が好きだったはずだ。


純粋に、真っ直ぐに。


その気持ちは、きっとあたしも和も知っている。


暖かくて、嬉しくて、楽しくて、時間も忘れて夢中になれる。


そんな素敵な好きと言う気持ち。


それがこんな風に曲がってしまった事が、ひどく悲しかった。


「和……会いたいよ……」


自分の声が、誰もいない部屋の中に空しく響いたのだった。