家族はみんな大丈夫だろうか?


地震の影響で苦労してないだろうか?


あたしがいなくて、友人たちは心配してるかな?


和は……あたしの彼氏は必死であたしの事を探しているかもしれない。


そんな事を考えて、少しだけ現実から目をそらす。


陽介君はきっと、あたしがいなくても心配しないように上手に嘘をつき、あたしになり切ってスマホを使っているのだろう。


きっと、みんな自分の事で精いっぱいだ。


きっと、誰もあたしの事を探したりはしていない。


それが現実だと、もうすでに気が付いていた。


陽介君が時々流すラジオでは地震のニュースが続いているし、1人や2人いなくなったところで気が付かれないということまで、頭の中にあるんだろう。


もしかしたらみんな、もう諦めているかもしれない。


あたしはあの地震で瓦礫に埋もれてしまったんだと思っているかもしれない。


「和……会いたいよ……」


高校に入学してからすぐにできた彼氏を思い出して呟いた。


西崎和(ニシザキ カズ)。


同じ学科で、クラス内でも目立つリーダー的な存在の和。


先輩後輩問わず仲良くなって、沢山の友達がいる和。