今まで遠いと感じていた床がすぐそばにあった。


ミィはそのまま部屋のドアへと向かう。


やった!


これで外へ出られる!!


そう、思ったときだった……。


ドアの前に人影があり、ミィは足を止めた。


「ダメだろミィ」


その声にあたしの体は凍り付く。


見上げると、そこには雄介君がいた。


いつの間に目が覚めたのか、ドアの前で仁王立ちをしているのだ。


「雄介君……」


「ほら、それは大切なものなんだ」


雄介君がしゃがみ込み、ミィの口からあたしの入った瓶を奪い返した。


ミィは「にゃぁ」と小さく鳴く。


やだ。


いかないで!


そう思うが、雄介君のいる前でそんな事口には出せなかった。


ミィの姿がドアの向こうへと消えて行く。


雄介君はドアを閉めると、あたしの入った瓶を枕元に移動させ、そして再び眠りについたのだった。