気が付くとあたしは瓶の中で横になっていた。


右足がひどく痛くて体はだるい。


発熱しているような感覚があった。


自分が何をされたのか思い出した瞬間、あたしは上半身を起こして足を確認した。


ちゃんと体についているそれを見てホッと息を吐き出した。


切断まではされなかったようだ。


痛みを我慢すれば動かす事もできる。


傷は浅くはなさそうだけれど、ちゃんと歩けるまで治りそうだ。


ガーゼがぐるぐるに巻かれていて傷口を確認することはできなかったが、血も止まっているようだ。


さすがに、生死に関係してくるほど傷つける事はできなかったようだ。


だけど、これで安心している場合ではなかった。


雄介君はあたしを傷つけても平気で眠っている。


これがエスカレートしていく可能性もあるし、なんとかしないと今度は命がないかもしれない。


カーテンの向こう側はまだ暗く、とても静かだ。


雄介君もしばらくの間目を覚まさないだろう。


あたしはなんとか立ち上がり、瓶に手を触れた。


この分厚い瓶をあたしの手で割る事はできない。