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あたしが全裸でその場に立つと、陽介君は舌なめずりをした。


見られているだけなのに、全身を撫でられているような不快感が襲う。


軽い吐き気すら感じる中、あたしはジッと立っていた。


陽介君のペンがサラサラと動く。


「お前は少し綺麗過ぎる」


嫌というほどあたしの体を眺めまわした後、陽介君がそう言った。


「え……?」


「俺は少しいびつなものが好きなんだ。人間の体に昆虫の羽がくっついたような、そういういびつさがね」


陽介君はそう言い、ペンを置いた。


ようやく終わったのかと服に手を伸ばしかけた時、陽介君の手にカッターナイフが握られているのが見えてあたしは動きを止めた。


「少しだけ傷つけてみようか」


陽介君がそう言い、赤い舌で舌なめずりをした。


あたしは強く首を振り「嫌!!」と、声を上げる。


「どうする? どこを切りたい?」


陽介君にはあたしの言葉が届いていないのか、そんな恐ろしい質問をしてくる。


あたしは両手に服を抱きかかえて、後ずさりをした。