考えるだけで背筋は寒くなった。


普通じゃない。


陽介君は普通じゃないんだ。


今更そうわかったって、あたしはもう陽介君に命を握られているのだ。


スマホもとられた。


ここから逃げ出す方法なんて、全然思いつかない最悪の状況。


絶望感からメマイを感じて、思わず足元がふらついた。


怒られるかと思ってキュッと目を閉じたが、陽介君は何も言ってこなかった。


そっと目を開けると陽介君の歪んだ目と視線がぶつかった。


咄嗟に自分の体が緊張するのを感じる。


陽介君はあたしをなめまわすようにジロジロと眺めて、そして瓶の中に手を突っ込んできた。


頭上に陽介君の指が見えてその場にうずくまるあたし。


瓶の中から出たいと思っていたが、陽介君の手にとって引きずり出されることとは違った。


「体の曲線がわからない。服を脱げ」


陽介君がそう言った。


「え……?」


「お前にそんな昆虫が似合うか、そのままじゃわからないって言ってるんだ」


その口調は穏やかだけど、決して否定させない威圧感を含んでいた。